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リハビリはポジティブなものである。②(2012/11/27)

“転機”

しかし、転機が訪れました。それは、偶然にも当院の事情が関係しています。当院は、開院以来、急性期病院の先生方の御理解をいただいて、当初予想したよりも多くの患者さまを紹介していただきました。これとは逆に、人手不足というか医師の充足が追い付かない状況が続いていました。
 
この状況の下、理事長の配慮により、今年7月から姉妹病院である彩都リハビリテーション病院から、
若きリハビリ専門医師が週2日、当院の手助けに来ていただけるようになりました。
 
身近でリハビリの専門医と一緒に仕事をしたことがない自分にとっては、非常にいい機会となりました。
若きリハビリ専門医の指導内容・スタッフへの指示は、自分がこれまで行ってきたこととは異なるものであり、
ある意味ショッキングでした。一言で言えば、”温泉ではなく、冷水にちゃぽんと漬けられたような”衝撃でした。

その先生に言わせると、
”自分の言っていることは、先端的なことではなく、リハビリのスタンダードなことを言っている”
とのことでしたが、私にとっては、まさに衝撃的なものでした。

具体的には、長下肢装具や短下肢装具などという言葉は知っていましたが、”体幹装具は?”といった
表現がカンファランスの中で出たこと。また、カンファランスの中で、セラピストが説明したあとに、
”麻痺側の状態は分かりましたが、健側のMMTは?”といった指摘など。他、諸々の事象について、
いわゆる”リハビリ医の視点でものを診る”というポリシーが貫かれていることでした。
そして、何よりも、”患者さまを歩いて帰す!”という気骨を感じました。
また、リハビリチームにおいての、医師の役割についても、患者さまの診察・カンファレンスでの役割、
セラピストや看護師、スタッフとの接点の中で、いろいろ指摘をうけ、そして、自分自身も感じることが
できてきたような気がします。

このような経験を通して、私は”自分のこれまでのリハビリに対する態度は何だったのか?”と
自問し続けました。その結果、私のスタンスは、患者さまが入院した際に、患者さまが不具合になった原因を
紹介状等で知り、CT検査などのレントゲン検査で確認し、納得して終わっていたということに尽きます。
そして、以後(入院後)のリハビリ治療については、セラピストにお任せしていたと。
一方、リハビリ専門医は、患者さまの病態やそれまでの経緯を知ることをスタートに、なおかつ、更なるエネルギーを
注いで、入院後のリハビリ計画をしっかりプラニングし、以後の治療を指導していく。つまり、入院前の諸々の
情報は参考にしますが、主体は入院後のリハビリ計画を如何にたてて、不具合になった患者さまのADLを
如何に改善して自宅に帰すか・ということに主眼がおかれているようでした。
翻って、私の診療態度は、入院した時点で、患者さんが不具合になった経緯を、レントゲン検査結果などを
参考にして、自分なりに理解して、それで納得して、終わっていたのです。何と、後ろ向き・ネガティブな
対応していたのかと反省しました。

続く・・・

(医局)